自分の為、誰かの為
自分の為にお金や時間を遣いたい。
……と言えるほどに、誰かの為だけに全てを注いでいるわけではない。それでも、ずっと誰かのペースで過ごしていると、「わたし」という個が、わたしの中であやふやになるような感覚に陥る。
わたしってなんだ。
なんの為にがんばってるんだ。
その思考が絡まった毛糸に触れると、たちまち毛糸の塊が転がり始め、たちどころに部屋中、心の中いっぱいにそれで埋め尽くされる。
それが、本当に怖いのだ。
あやふやにならないように、なにか自分の為になにかをしたい。けれど、なにもなくて立ち止まる。
なにかしたいことすら、我慢しすぎて全て手放してしまっていたことに、今になって気付いたのだ。